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ランディングページで熟読率をKPIにする意義について考える


■はじめに

もし何かの会員登録を促したり商品を販売しようとして、広告やオーガニック検索からの顧客の受け入れを目指してランディングページをつくった場合、当然気になるのは離脱率です。離脱率を下げるためには、離脱率と反対の指数である回遊率を上げることは
当然のこと、だが、時折熟読率に注目されていることを目にします。

しかし、ランディングページでは、そのページを読んでもらうことではなく、そのページに訪問したあとにどんな行動を顧客が取るかが重要であるので、ストレートに熟読率がそれ以後のコンバージョンに貢献するとは考えにくい。そこでこのエントリでは、ユーザ行動や心理を具体的に想像しながら、熟読率とコンバージョンに相関性を見出す仮説を経てられるのかどうかを考えてみたいと思います。

■なぜ熟読率が注目されるか

PVやUU、離脱率だけでなく、熟読率をみる理由は何でしょうか。一つの見方としては、熟読率をみることで、見落としていたユーザの心理を拾える可能性があるから、という側面はあるかと思います。




こちらの記事にあるように、ある記事が読まれた後に直帰しても、滞在時間が長ければその訪問者は「内容に満足している」可能性があり、今回はコンバージョンしなくても今後の再訪問が期待できたり、再訪問からのコンバージョンが生まれる可能性も見据える事ができます。

■ECでは熟読率に意味はあるの?

もし、計測対象がランディングページではなく、記事であれば、「熟読率」は非常に大事でしょう(場合によっては、単に滞在時間計測や、読了率とも表現されるようです)。コンテンツをしっかり読んで貰ったどうか、それを設定する方法については下記のような記事が見受けられます。




しかし、記事を読んでもらえば良い場合と違い、ECでの購入をコンバージョンとしたランディングページの場合は「すぐに直帰されても困る」し、「長く滞在して直帰されても困る」のです。もちろん熟読することで必ず購入コンバージョンが高まるのなら別ですが、購入行動全体を考えれば、ポイントを押さえて納得してもらえたら、あまり時間をかけずに商品詳細やカート投入に進んでもらえたほうが、購入完了までのステップが長いECにおいては、より安心なのではないか?という疑問が浮かびます。

■(ECの)ランディングページ分析に重要な要素

その観点から、改めて熟読率の要不要について考えてみたところ、面白い示唆がありました。「ランディングページのコンバージョン率を上げるには?」という記事においては、下記のような2つのポイントが挙げられています。

  • ランディングページの分析にはヒートマップツールを使う
  • ランディングページはスクロール率と精読率を見る
 後者は、文意からすると「(ヒートマップツールを使って)ランディングページではスクロール率と精読率を見る」ということのようです。

 それではスクロール率と精読率とはなんでしょうか。

■スクロール率と精読率

 スクロール率は簡単です。例えば縦長のランディングページでは、スクロール単位でコンテンツが分布しており、上から下に向かってユーザの意識に沿って購入を促す構成となっていることは多いので、どこまでスクロールしたかというのは確かに購入行動に寄与しそうなKPIと考える事はできそうです。

 精読率についてはどうでしょうか。これは、一見熟読率と似ていますが、「全部が読まれたかどうか」というよりは「そのページのどこが読まれたか」を探すもののようです。ヒートマップを併用するということは、率といってもスカラー的に上から下へ増加するものではなく、場所によって高くなったり、低くなったりするものと考えるのが良さそうです。これは、熟読率とは数値の傾向が異なりますし、購入のコンバージョンにはこちらのほうが改善ポイントを見やすそうです。

■ヒートマップを使ってみるには

 とはいえ、ヒートマップはGoogle Analytics単体では分析できませんし、有料のツールが多いため、簡単には導入できません。しかし、機能制限版であれば Click Tale というソリューションが無料で利用できるようです。
 もう少し調べてみると、ローカライズはされているもののもともとは海外製ソリューションのようです。

■まとめ

 本来は、熟読率 VS スクロール率・精読率のコンバージョン率比較デモするべきところですが、今回のエントリとしては下記のような程度でとどめておければと思います。
  • 熟読率は、ページへの滞在時間をベースとして、PVや直帰率では見落としがちなページの価値や訪問の意味を見出す事のできる数字である。
  • ヒートマップを使うことで、スクロール率や精読率がとりやすくなる。
  • もしかしたら、熟読率よりもスクロール率や精読率の方が、ECでの購買をコンバージョンを目的とするランディングページでは、より有効な指標かもしれない。



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