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電通がFacebookのプレミア広告枠を買い切ったからってどうということはない、という見かた。

@rkanbe です。

広告業界を中心に、今日はこのニュースがとても注目されていました。

電通とFacebookが業務提携 広告主向けにマーケティング活用支援 - ITmedia News

電通が米Facebookと業務提携、プレミアム広告の独占販売権を獲得 - ニュース:ITpro


えっ、なんだなんだ?Facebookって代理店マネーに占領されちゃったの?って感じでざわざわしちゃう感じはあるかもしれないのですが、まずはひとつずつ状況を確認してみましょう。

プレミア広告枠ってどこ?

まず、今回の提携の趣旨をみてみましょう。

電通、米フェイスブックと提携 プレミア広告を販売  :日本経済新聞

「プレミア広告はフェイスブックを起動したログイン画面に表示され、他社の広告が同時に表示されないため、注目度が高いという。フェイスブック側は電通の営業網を生かし、日本企業の広告需要を開拓していく。」

このプレミア広告、ともするとmixiにログインする前のど派手な広告のように思うかも知れません(実際にこちらの記事にはそういうスクリーンショットがあります )でも、Facebookを常用するユーザであればここはほとんど見ないよなあ、という実感もあるのではないでしょうか。

滞在時間や再訪問率が長く、Cookieによる継続的なセッションが切れにくかったり外部の専用クライアントから利用されることも多いというのはTwitterと似通った部分があり、それらのログイン画面を広告枠化するというのはなんとな売り物になるか不安も残ります(もちろん売りだしていれば買われるでしょうけど)。

では、実際のプレミア広告はどこかというと、今日までプレミア広告を売っていたサイトに詳しい解説が掲載されています。

※次より引用:広告代理店|メディア価格がわかる『広告ダイレクト』
※画像内価格は過去の別代理店のもので今回の発表内容とは無関係です


つまり、Yahoo!でいえば昔のサイズのブラパネ、Twtterでいえば右肩広告のような部分というわけです。しかも、ユーザへの重要な告知よりはちょっと下で、ここに広告があるからといってどれだけのものになるのでしょうか(つまり、興味のある広告がここにあったからといって、あなたはクリックしますか?という話です)。なお、画像中の価格は現在まったく参考になりません。独占になった以上、この金額よりはおそらく上がっていることでしょうが。

さらにTechWaveの記事で湯川さんがツッコみをいれているのが、”実際にFacebookが重要視しているのは、ファンページや他人のウォールに行ったところで表示されるマーケットプレイスアドである”という見かたです。

電通とFacebookが業務提携【湯川】 : TechWave 

「多分、Facebookはプレミア広告枠なんて、本音のところではそれほど重要視していないんじゃないかと思う。」

ここは「マーケットプレイスアド」とあるように、基本的に代理店を通さない、Facebookユーザからの直接購入枠であるはずです(詳しくないですが、もしかしたら代行で出稿するようなところもあるかも?)。電通の契約では、ここを今回の契約で販売することはできないのです。

事実、電通自信もプレスリリースネタ以上にどこまでこの枠を重要しているかどうかはわかりません。よおく提携の期間を見てみましょう。

「独占販売権は2月18日から1年間有効」

つまり、一年も見たないうちに契約更新の期限が来るわけです。Facebookおよび電通双方にとってメリットがなければ、この契約が解除されることも、可能性がまったくないというわけではないということです。

Facebookと業務提携ってどういう意味?

では、同時に語られている「Facebookとの業務提携」とはどういうことでしょうか。大手代理店以外はもはやFacebookページを作れないということでしょうか。もちろんそんなことはありません。これまで同様、誰でもページを作れますし、技術的にはこれまでとかわらず、なにか見えない障壁にはじかれるということもないでしょう。

提携の業務内容を見てみても、プレミアムアド以外のところは下記の通り。

・Facebookの企画を各種企業や広告主にコンサルする
・ソーシャルプラグインやFacebookタブアプリを使ったキャンペーンを実施
・既存のメディアと組み合わせたプロモーション展開

こちらも十分既存の代理店や制作会社とのタッグでやっていける内容です。Facebookとあえて業務提携しなければ絶対できない、という話でもありません。少し想像してみてください。そもそもFacebookページへの誘導ってどうやればいいでしょうか?プレミアムアドからの誘導が本当に最大の入り口となるでしょうか?

サーチエンジンの検索結果にも出てくるFacebookの場合、通常のSEO+スペシャルサイトからの誘導や、TwitterからFacebookへの誘導とかもろもろあわせて考えた場合に、ここはそれほど脅威でしょうか。いまのソーシャルな人の流れをいろいろ考えてみて、ウェブマーケターのみなさんを中心にシュミレーションしてみても面白いのではないかと思います。

2ちゃんねる方面からの面白い反応

さて、今回ちょっと面白いのが、2ちゃんねるのまとめブログの方から「セカンドライフ再来!」と叫んでいるところです。

電通とFacebookが業務提携 広告主向けにマーケティング活用支援

彼らはなんでこんなに一生懸命かというと、一年前にTwitterが同じように盛り上がりかけたときに、電通が大規模提携を仕掛けてくることを期待していたのに結局その「祭り」がなかったからなのではないかと思います。2ちゃんねるにとってはかつて「電通がセカンドライフをゴリ押ししたためにサービスがうまく立ち上がらなかった」という説が定説ですので、今度こそこれをネタにこきおろすチャンス、と思ったのではないかと思います。しかし現状では単に知名度を上げるための燃料にもなってしまっているので、ある程度諸刃の剣(もしくは時間差ブーメラン)的な切り口ともいえるでしょう。

まとめ

というわけで、枠の買い切りというのは過去15年間のインターネット広告ではまさに一大仕事でここをとっていくところは広告代理店の醍醐味、という見所はあるのですが、ソーシャル時代に半分足をつっこみはじめた今、あらためてそれが時代に伴っているかどうかを、自分のなかで考えてみてはどうでしょうか。

自分がTwitterやFacebookのウォールでリンクをクリックした数と、操作ミス以外で大きめのサイズのバナーをクリックした数、あなたは果たしてどちらの方が多いでしょうか?

そのあたりに、今回のニュースを冷静に考えるチャンスがいくつかあるように思います。また、いま日本でたくさん発売されているFacebook本で、特にFacebookの立ち上げ段階を見た場合、Facebookがどれだけ長い間広告を導入しなかったかという歴史も見て取れるはずです。そういったいみで、この枠にどういう意味があるかを、Facebookページと対比して考えてみても面白いかも知れません。

おまけ

FacebookにはロケタッチやFoursquareみたいなFacebook Place(日本ではスポット)という機能があります。汐留の代理店には下記のようなプレイスがありますので、現地に行った際にはぜひチェックインしてみるといいのではないでしょうか。

電通

コメント

  1. 関連です。ご参考まで>電通がフェイスブックと提携したな。これから何が起こるか、5個書いておくぞ。でもあんまり真に受けるなよ - ウェブはバカと暇人のもの http://blog.goo.ne.jp/konotawake/e/8a98b04a9a327bba39cc6a24368c0632

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